海外小説

愛について語るときに我々の語ること(レイモンド・カーヴァー)おすすめ小説ベスト3

 

こんにちは、nattoです。

今回は、レイモンド・カーヴァー著、村上春樹訳の
「愛について語るときに我々の語ること」を紹介します。

 

この本は私が仕事でアメリカにいた頃、アメリカ人の友人に紹介された本です。

 

それまで一度もカーヴァーの本は読んだことがありませんでしたが、タイトルの独特さや、村上春樹さんが訳をされていることもあって一度読んでみたところ、

完璧にハマってしまいました。

立て続けに、他の本を取り寄せ、完読。今ではお気に入りの作家の1人です。

 

カーヴァーの小説は、主に労働者階級である人々の話が多く話の内容としては、妻子に捨てられた男性や失業、浮気された男など、人生がうまく行かない男性の暗く絶望を感じる内容、痛みを伴う作品が多いです。

 

しかし、それはどこにでも見受けられる、ごく当たり前の一般庶民の話であるため、
私のような中年の男性が深く共感できる内容となっております。

 

あまり海外小説を読んだことのない方でも、中年の男性であれば(特に人生に疲れている男性)、カーヴァーの作品は必ずおもしろいと感じるでしょう。(ちなみに紹介してくれたのは女性でしたが笑)

 

中年男性が読んでいてかっこいいと思う作家No.1です

 

 

レイモンド・カーヴァーについて

レイモンド・カーヴァーはアメリカ生まれ。ミニマリズムの代表的な小説家。

主に短編小説の名手として、日本では、村上春樹さんの訳で出版。

 

ミニマリズムということで、徹底的に背景や説明を除いた「無駄のない文章」で構成されており、そこが読者の想像を掻き立てる要素となっております。

 

代表作は、「頼むから静かにしてくれ」「愛について語るときに我々の語ること」「大聖堂」。

 

もう一つの特徴として、代表作を見ていただくわかる通り、タイトルのつけ方が独特です。

 

今回紹介する「愛について語るときに我々の語ること」で一躍有名となり、アメリカに
カルト的な強い影響を及ぼした。

 

 

この本の主な収録作品

この本は、17の短編小説で構成されています。

特に心に残った作品を3つ紹介します。

 

「出かけるって女たちに言ってくるよ」(15ページ:8分)

妻も子どももいて、一見幸せだと思われる男性が抱える深い闇を描いた作品。
昔から仲の良い2人の男が、妻に出かけてくると言い、内緒でナンパをしにいく一見ありふれた?笑、内容となっておりますが、そこには衝撃のラストが。。。

徹底的に説明を省いた衝撃的なエンディングは、どう解釈するのかわかれますが、
ごく普通な生活を過ごしている中年の男性の中に内在している狂気的な一面を感じられる作品。

この作品を読んだとき、主人公に共感してしまう人は、少しヤバいかもしれません。。。

私もその1人です。笑

 

 

「足もとに流れる深い川」(15ページ:8分)

旦那が友人たちとキャンプに行き、そこで女性の遺体を発見。
せっかくのキャンプが台無しになるのを恐れ、帰宅する最終日になって、警察に連絡。そのキャンプから帰ってきた旦那と奥さんが口論する内容。

自分の夫が何考えてるか分からない。そんな経験ありませんか?
逆に、いちいちしつこく聞いてくる妻にイライラした経験ありませんか?
内容はかなりダークですが、そんな小説です。笑

男性には罪の意識がなく、そんな旦那を、奥さんは全く別の世界にいる自分の見知らない人間のように思えてきます。
しかし、最終的に旦那の欲望に対応してしまい、価値観が違いながらも受け入れざるを得ない女性からの視点で描かれております。

逆に男性目線から考えると、何を言っても通じない妻を抱える悩みが描かれているのかもしれません。

男女は一生分かり合えないものなのかも。。。

 

「ある日常的力学」(4ページ:約1分)

家を出ていこうとしている旦那と、その奥さんと思われる女性。
女性の腕には赤ちゃんが抱かれていて、男と女性が赤ちゃんを自分のものにしようと、引っ張り合いになる話。

たった4ページでここまで想像を膨らませるカーヴァーのすごさでしょうか。

どういった経緯で別れることになったのか、結局どうなったのか、全く説明がないので、読者にお任せとなります。しかし、この後の2人の人生が決して明るいものとは思えません。

赤ちゃんの引っ張り合いを「日常的力学」とつけるのが、カーヴァーらしくて好きです

 

まとめ

短編集なので、小説が苦手な人にも読んでいただけると思います。

また、日本の小説は読むけど、海外小説は読まない方にも、お勧めです。

是非、カーヴァーを読んでいただき、沼にハマってください。

 

タイトル 愛について語るときに我々の語ること
著者 レイモンド・カーヴァー
訳者 村上春樹
ページ数 301ページ
値段 1,210円(税込み)